こんにちは、がおです。
先日、持っているCCIEとPMP資格の更新時期が2026年に迫っていることに気づきました。あれからもう3年近く経とうとしているのかと、時の流れの速さを感じると同時に、また更新の手続きが必要かと考えると少し気が重くなりました。
今回は、IT資格の更新問題について考えたことを書いていきたいと思います。
IT資格と更新の「めんどくささ」
IT資格には大きく分けて、「更新が必要なもの」と「更新が不要なもの」があります。
例えば、国家資格である情報処理技術者試験系(基本情報技術者試験など)は一度取得すれば有効期限がなく、更新の必要もありません。これは「うっかり失効」の心配がないという大きなメリットです。
一方で、ベンダー系の資格は多くが更新を必要とします。例えば:
- CCIE(Cisco Certified Internetwork Expert):取得から3年間有効で、その後は試験やトレーニングによる継続教育クレジットの獲得などで更新が必要
- PMP(Project Management Professional):3年間の有効期限があり、その間に60PDU(Professional Development Unit)を取得することで更新が可能
LPICのような資格は、厳密には資格自体に有効期限はないものの、「有意性の期限」として5年間が設定されています。5年経過後も資格は失効しませんが、現役のスキルを持っている証明としては使えなくなるという微妙な立ち位置です。
更新のためにまとまった時間とコストを確保する必要があるのは、正直なところ負担に感じる部分があります。特に複数の資格を持っていると、常に「どれかの更新時期が近づいている」という状態になり、精神的なプレッシャーもあります。
手を動かさなくなった中での資格の必要性
私自身、キャリアの変化とともに、直接技術に触れる機会が徐々に減ってきました。そうなると必然的に、資格の内容と実務の乖離が大きくなります。
かつてはサーバー構築やネットワーク設定など、日常的に技術に触れる業務が中心でしたが、現在は設計や要件定義、プロジェクト管理といった業務が増え、コードを書いたりインフラを構築したりする機会は激減しています。実務で触らなくなった技術を定期的に学び直す必要があるのは大変です。
そんな状況で、果たして技術中心のIT資格を更新し続ける意味はあるのでしょうか?
一方で、業界動向を把握するためのアンテナとしての価値は依然としてあると感じます。更新のための学習を通じて、自分が離れていった技術分野の最新動向を知ることができます。完全に手放してしまうと、技術的な会話についていけなくなるリスクもあります。
資格更新方法の選択肢
IT資格の更新方法は、少しずつ柔軟になってきています。
例えば、CCIEの更新には次のような選択肢があります:
- 試験による更新:技術的な試験に合格する
- 継続教育プログラム:研修受講やCisco Liveへの参加などを通じて120CEクレジットを獲得する
- 試験とCEクレジットの組み合わせ:例えばテクノロジーコア試験に合格して40CEクレジットを獲得し、残り80クレジットを研修などで補う
また、CCIEは10年保持するとEmeritus(名誉会員)資格の申請が可能で、20年間連続で保持すると「Lifetime Emeritus」となり、以降の更新料が不要になるという特典もあります。
PMPの場合は、3年ごとに60PDUを獲得する必要がありますが、セミナー参加、読書、記事執筆、プロジェクト実務など、さまざまな方法でポイントを獲得できます。これは日常業務とも組み合わせやすい柔軟な更新方法だと言えるでしょう。
IT業界の変化と資格トレンドの移り変わり
IT業界の技術トレンドは常に変化しており、それに伴って求められる資格も変わってきています。
私がIT業界に入った頃は、「インフラエンジニアならまずはCiscoのCCNAとLPICレベル1を取得すべき」という風潮がありました。物理的なネットワーク機器やサーバーを理解することが基礎とされていたのです。
しかし現在では、多くのITインフラがクラウドに移行し、新規システムも「クラウドファースト」で設計されることが当たり前になりました。それに伴い、AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウド系資格の重要性が高まっています。
これは単なる技術の流行り廃りではなく、IT基盤の根本的な変化を反映しています。かつてのネットワーク知識も基礎として重要ですが、現在のクラウドインフラでは抽象化されている部分も多くなっています。
新人エンジニアが最初に取るべき資格も、もはやCiscoやLPICではなく、AWSやAzureのクラウド基礎資格が主流になりつつあります。時代の変化を感じます。
これからのIT資格との付き合い方
これらの状況を踏まえ、私なりのIT資格との付き合い方を考えてみました。
- 選択と集中: すべての資格を更新し続けるのではなく、自分のキャリアに最も関連する資格に絞る
- 効率的な更新方法の活用: 試験だけでなく、研修受講や日常業務の活動など、多様な方法で更新条件を満たす
- 長期的視点での判断: CCIEのLifetime Emeritusのような長期特典があるなら、そのゴールを見据えて計画する
- 資格の先にある価値: 資格そのものより、学習過程で得られる知識やスキルに注目する
資格は決してゴールではなく、継続的な学習の通過点に過ぎません。更新の手間を嘆くよりも、変化し続ける業界に対応するための仕組みとして前向きに捉えたいと思います。
資格提供側には、働きながら学び続ける専門家の時間的制約や負担を理解し、より効率的で実践的な更新プロセスを提供してほしいと願っています。一方的な試験ではなく、実務の中で自然と学び、評価される仕組みが増えれば、資格更新はより価値あるものになるでしょう。
皆さんは資格更新についてどう考えていますか?効率的な更新方法や、資格との良い付き合い方があれば、ぜひコメントで教えてください。
それではまた次回。
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