こんにちは、がおです。
今度子供の剣道の大会があるということで、撮影機材について色々と考えています。体育館での剣道撮影は照明が暗い上に、激しい動きがあるため、かなり厳しい撮影条件なんですよね。現在の手持ち機材で十分なのか、それとも追加投資が必要なのか、データに基づいて冷静に分析してみました。
現在の手持ち機材の整理
まず、現在の機材を整理してみましょう:
- フルサイズ機:Sony α7C + FE 24-70mm F2.8 GM II + FE 35mm F1.4
- APS-C機:Sony ZV-E10 + SELP1020G(10-20mm F4)

体育館撮影の課題と要求スペック
体育館での剣道撮影には、以下のような技術的課題があります:
- 照明不足:一般的な体育館の照明はEV値で6-8程度と非常に暗い
- 高速な動作:剣道の技は瞬間的で、シャッタースピード1/500秒以上が必要
- 撮影距離:観客席からの撮影で、被写体まで10-15m程度
- 防具による制約:面や胴で表情が見えにくく、決定的瞬間の判断が困難

機材別性能分析
1. Sony α7C + FE 24-70mm F2.8 GM II
メリット:
- F2.8の明るさで暗い体育館に対応
- フルサイズセンサーによる高感度耐性(ISO 6400まで実用的)
- 優秀なAF性能でリアルタイムトラッキング可能
デメリット:
- 70mmでは観客席からの撮影で画角が不足(35mm換算で約105mm相当の画角必要)
- クロップ機能を使うと画素数が減少し、画質低下は避けられない
2. Sony α7C + FE 35mm F1.4
メリット:
- F1.4の圧倒的な明るさ(24-70mm F2.8より2段分明るい)
- シャッタースピードを2段速くできる、またはISO感度を1/4に下げられる
デメリット:
- 35mmでは画角が広すぎて、道場全体は収まるが選手は豆粒サイズ
- フレーミングの自由度が限定的
3. Sony ZV-E10 + SELP1020G
メリット:
- APS-Cのクロップ効果で20mmが30mm相当になり、やや使いやすい画角
- 軽量で長時間の手持ち撮影に有利
デメリット:
- F4では暗すぎて体育館撮影には不向き
- APS-Cセンサーの高感度性能はフルサイズに劣る
- 最長20mmでも望遠が足りない
理想的な剣道撮影レンズとの比較
プロカメラマンの多くが体育館スポーツ撮影で使用するのは、70-200mm F2.8クラスのレンズです。その理由を数値で見てみましょう:
| レンズ | 画角(距離10m) | 必要ISO(SS 1/500) | 画質評価 |
|---|---|---|---|
| 24-70mm F2.8(70mm) | 横幅約4m | ISO 3200 | ○ |
| 70-200mm F2.8(200mm) | 横幅約1.4m | ISO 3200 | ◎ |
| 35mm F1.4 | 横幅約8m | ISO 800 | ○ |
| 10-20mm F4(20mm) | 横幅約14m | ISO 12800 | △ |
具体的な撮影シーン別の推奨設定
シーン1:全体の試合進行を記録
推奨機材:α7C + FE 35mm F1.4
設定:マニュアルモード、F1.4、SS 1/500、ISO 1600-3200、AWB
理由:道場全体が収まり、明るいレンズで手ブレを防げる
シーン2:選手の表情や技の瞬間
推奨機材:α7C + FE 24-70mm F2.8 GM II(70mm + クロップ)
設定:シャッタースピード優先、SS 1/640、F2.8、ISO 4000-6400、連写H+
理由:クロップで約105mm相当となり、適度なアップが可能
シーン3:決勝戦などの重要な場面
最適解:70-200mm F2.8クラスのレンズが理想的ですが、現有機材では24-70mm F2.8のクロップ使用が現実的な選択肢となります。

フルサイズ vs APS-C:体育館撮影での実測比較
同じ体育館環境での画質比較(ISO 3200、SS 1/500での撮影を想定):
- α7C(フルサイズ):ノイズが少なく、色再現性が良好。画素ピッチが広いため高感度耐性に優れる
- ZV-E10(APS-C):同じISO値ではノイズが目立ち、暗部の粘りが不足。ただし1.5倍のクロップ効果は望遠不足を補える
実用的な観点では、フルサイズ機の高感度性能が体育館という厳しい環境では決定的な差となります。
追加投資を検討すべきレンズ
現有機材での撮影も可能ですが、より確実な成果を求めるなら以下のレンズが候補となります:
- Sony FE 70-200mm F2.8 GM OSS II(約30万円)
体育館スポーツ撮影の定番。望遠端200mmで選手をしっかりとらえられる - Sony FE 85mm F1.4 GM(約15万円)
中望遠単焦点で、F1.4の明るさと85mmの画角が剣道撮影に最適 - Sony FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS(約25万円)
望遠は十分だが、F値が暗いため体育館では厳しい
実践的な撮影戦略
現有機材で最大限の成果を上げるための戦略:
- メイン機材:α7C + 24-70mm F2.8(クロップ使用)
- サブ機材:α7C + 35mm F1.4(全体構図用)
- APS-C機:動画撮影専用または予備機として活用
- 撮影位置:可能な限り前方の席を確保し、撮影距離を短縮
- 設定:AF-C、連写モード、スポット測光で適切な露出を確保
結論:現有機材での対応可能性
分析の結果、現在の機材でも工夫次第で剣道大会の撮影は十分可能です。特にα7Cと24-70mm F2.8 GM IIの組み合わせは、クロップ機能を活用することで体育館撮影の要求に応えられます。
ただし、より確実で高品質な写真を求めるなら、70-200mm F2.8クラスの望遠レンズへの投資は検討の価値があります。子供の成長記録として長期的に使用することを考えれば、投資対効果は十分に見込めるでしょう。
まずは現有機材で挑戦してみて、撮影結果を見ながら今後の機材計画を立てるのが現実的なアプローチだと思います。何より、子供たちの頑張る姿をしっかりと記録に残すことが一番大切ですからね。

次回は実際の撮影結果をもとに、設定の最適化について詳しくレポートしたいと思います。
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